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【奈良の弁護士が解説】採用活動の新常識!「就活セクハラ防止措置」義務化に伴い企業が今すべきコンプライアンス対策とは?

2026.09.02

奈良市を中心に企業の労務トラブル対応やコンプライアンス構築をサポートしている、弁護士の寺川拓です。

企業の採用活動やインターンシップにおいて、応募者や学生に対するハラスメント(いわゆる「就活セクハラ」)が近年大きな問題となっています。これを受けて法改正が行われ、従来の自社従業員だけでなく、求職者等に対するハラスメント防止措置が企業に義務化されることとなりました。

採用活動中の言動は、企業のブランド価値や社会的信用、優秀な人材の確保に直撃する極めて重要な問題です。本記事では、対象となる「求職者等」の範囲や義務項目、社内研修や実務でトラブルを防ぐためのポイントを分かりやすく解説します。

1. 「就活セクハラ(求職者等に対するセクシュアルハラスメント)」とは?

就活セクハラとは、「事業主が雇用する労働者による『性的な言動』により、求職者等による求職活動等が阻害されるもの」を指します。

「求職者等」および「求職活動等」の幅広い対象範囲

保護対象となるのは、自社の内定者や直接の応募者だけにとどまりません。

  • 求職者等の範囲: 応募者(就活生、転職希望者)、インターンシップ参加者、会社説明会参加者、OB・OG訪問に参加する学生、教育実習・看護実習などの実習生
  • 求職活動等の範囲: 面接・会社説明会、社員訪問(OB・OG訪問)、インターンシップ・実習、SNSやメッセージツールを用いたやり取り

※性別や性的指向、ジェンダーアイデンティティにかかわらず対象となり、役員や事業主自らの言動も対象に含まれます。

典型的な「性的な言動」の例

  • 性的な内容の発言: 面接中にプライベートな交際関係や性的な事実を質問する、性的な噂を流すなど
  • 性的な行動: 無断で身体に触れる、性的な関係を強要する、執拗に私的な食事やデートに誘うなど

2. 企業が「必ず講じなければならない」雇用管理上の措置(義務項目)

法改正により、企業は求職者等に対しても、既存の従業員と同様に以下の措置を講じることが義務づけられます。

① 事業主の方針等の明確化および周知・啓発

  • 就活セクハラ禁止の周知: 就業規則への規定、社内報、従業員向け研修などを通じ、方針を明確にして社内に周知します。
  • 厳正な対処: 違反者に対する懲戒処分などの対応方針を就業規則等に明記します。
  • 接触ルールの策定: 1対1の面談を避ける体制や、連絡に使用するSNSツールの指定など、接触時の実務ルールを策定し求職者にも案内します。

② 相談体制の整備(求職者向け窓口の設置)

  • 相談窓口の提示: 採用サイトやパンフレットに求職者向けの相談窓口を明記します(人事担当者以外の指定や、外部の法律事務所等を窓口に委託することも有効です)。
  • 担当者研修: 微妙なケースや発生のおそれがある段階でも適切に対応できるよう、窓口担当者向けの研修やマニュアル整備を行います。

③ 事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係の確認: 相談があった場合、双方から速やかに事情を聴取します。
  • 被害者配慮と行為者処分: 接触遮断などの配慮を行うとともに、事実が確認できた場合は就業規則に基づき厳正処分を行います。
  • 再発防止策の実施: 研修の再実施など、再発防止に向けた取り組みを徹底します。

④ 相談者のプライバシー保護と不利益取扱いの禁止

  • プライバシー保護の徹底とともに、事実確認に協力した労働者が解雇等の不利益を被らないよう就業規則等に規定・周知します。

3. 併せて対応したい「望ましい取り組み」(努力義務・推奨)

さらに、以下の取り組みを社内コンプライアンス体制に組み込むことが推奨されています。

  • 学校等との連携: 大学等のキャリアセンターと密に連携し、トラブル時に迅速に対応する。
  • 就活パワハラ・マタハラ等の防止: 就活セクハラだけでなく、パワーハラスメントや妊娠・出産・育児等に関するハラスメント、アウティングや性的指向への侮辱行為も禁止方針を明示する。
  • 顧客・取引先からのハラスメント対応: インターンシップ先などの取引先から求職者へのハラスメントが発生した場合も適切に対応する。

4. 弁護士からのアドバイス:採用現場のトラブルを防ぐ体制づくり

就活セクハラは、被害を受けた学生の精神的苦痛はもちろん、SNSによる告発や「炎上」に直結しやすい特徴があります。ひとたび告発されれば、企業イメージの失墜や不買運動、損害賠償請求など致命的なリスクを負うことになります。

今すぐ企業が取り組むべき対策は以下の2点です。

  1. 「採用ガイドライン」の策定「面接は密室で行わない」「1対1での私的なSNS連絡は禁止」「面接時のNG質問リストの共有」といった具体的なルールを策定します。
  2. 採用サイトへの「相談窓口」の明確な記載応募者に対して「万が一の場合は窓口へ」と提示しておくことは、社員への強いハラスメント抑止力になります。

5. まとめ|奈良で社内研修・コンプライアンス対策のご相談は当事務所へ

ハラスメントのないクリーンな採用環境を整えることは、企業のブランド価値を高め、優秀な人材を獲得するための第一歩です。

当事務所(奈良市)では、企業様のコンプライアンス強化に向けて以下のサポートを行っております。

  • 面接官・役員・従業員向けの「ハラスメント防止研修・コンプライアンス研修」
  • 「求職者との面談ガイドライン(連絡ルール)」の作成支援
  • 採用サイトに掲載する「ハラスメント防止方針・外部相談窓口」のリーガルチェック
  • 不祥事発生時の事実関係調査・第三者視点でのアドバイス

「面接官向けの研修を実施したい」とお考えの奈良県内の企業・事業者様は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。